夜の食事が太るほんとうの理由
更新日:5月27日
前回のブログで、ダイエットには朝食が大事だというお話をしました。体の代謝を始動させるスイッチをオンにするのは朝の食事ですが、夜遅い食事がなぜ太りやすいかという問題は、単に夜はエネルギーを消費しないからという話ではなく、やはり体内時計が深く関わっています。とくにエネルギー代謝のキーとなる肝臓、筋肉、脂肪組織の代謝に焦点をあてて、夜の食事と肥満の関係を考えてみます。
肝臓は夜間、エネルギーの蓄積(脂肪合成)モードに入る
体内時計(概日リズム)を刻む時計遺伝子は、脳の主時計と肝臓などの臓器にある末梢時計に分かれます。肝臓は身体代謝の司令塔と言われ、糖や脂質代謝を一手に引き受けており、その働きをコントロールしているのが肝臓の時計遺伝子です。その時計遺伝子により肝臓は、日中はエネルギーの供給(糖新生)を、夜間はエネルギーの蓄積(脂肪合成)を優先するようにプログラミングされています。
朝に食事をとると、肝臓の時計遺伝子が活動開始のスイッチを入れ、代謝が活発になります。しかし、夜遅い食事で糖や脂肪が体内に入ると、脂肪の合成モードに入った肝臓は効率よく中性脂肪を作り、血液を通じて全身に運ばれた中性脂肪は脂肪組織に詰め込まれ、また脂肪肝や高脂血症を引き起こします。
夜の食事で筋肉に取り込まれなかった食事中の糖は脂肪組織に回る
次に筋肉ですが、筋肉(骨格筋)は食事によって分泌されたインスリンに反応して、血液中の糖を細胞内に取り込む組織です。筋肉の時計遺伝子は、日中はインスリンの感受性を高めて効率よく糖を吸収しエネルギーとして消費します。しかし、夜間の非活動時にはインスリン感受性を低下させ、糖を取り込む能力を制限します。
夜間は日中に比べて、インスリン分泌も鈍く遅れがちです。そこに、夜遅い食事で血糖が上昇すると夜間高血糖の状態になり、すでにエネルギー代謝がオフモードになっている筋肉は、糖をうまく取り込んで燃焼させることができないため、あふれた糖は脂肪組織へ回されます。
脂肪組織にある時計遺伝子(BMAL1)が夜間の脂肪合成を強力にすすめる
筋肉に拒絶され行き場を失った糖が脂肪組織に送り込まれる理由は、糖の取り込みと脂肪の蓄積を促すインスリンの働きによるものですが、脂肪組織には、脂肪を蓄える酵素を増やすBMAL1(ビーマルワン)と呼ばれる時計遺伝子があって、夜10時を過ぎると、BMAL1の分泌量は昼間の20倍以上になり、このタイミングでとった食事は猛烈な勢いで脂肪として蓄えられるのです。
夜の食事で注意すべきポイントは
どうしても食事が夜遅くになる人は、夕方と夜に分けて分食をしましょう。夕方におにぎりなどで炭水化物をとる、つまり夜はご飯類などの主食を抜くことで、深夜のインスリン分泌のピークを抑えます。また食物繊維の多い野菜やサラダから食べ始めましょう。それが血糖値の上昇を緩やかにします。サラダに納豆や卵、ツナ缶を加えても結構です。そして夜は高脂肪の食事は避けましょう。てんぷらや唐揚げより鶏の蒸し焼き、豚の冷しゃぶ、イワシの南蛮漬けなどを選ぶのがベターです。